今回、ニンジン畑で山口式農業(高炭素循環農法)を体験しました。そこは真上から太陽に照らされ、麓の山や川がキラキラ反射するのが見下ろせて、まるでどこかのリゾート地から見る景色。下を向かないと草取りは出来ないのですが、こんなに眺めのいい畑は初めてでした。
山口さんの畑は、綾北川をはるか麓に眺める尾立(おだて)地区にあります。周囲になだらかな曲線を描く畑が広がります。戦後、入植した人々が開拓したこの地区は標高約250メートル(綾町役場は約50メートル)と、日中の寒暖の差が大きく冬は寒い。
畑仕事しながら、間引きしたニンジンを食べました。かじると丁度いい優しい甘み。すーっと体に染み入ってくるニンジンに、幸せを感じた畑時間でした。(マイブログのシナヤカニンジンへ)
軽トラック一台山盛りに積み込んだ菌床。シメジなどのキノコ収穫後の菌床です。これを使って肥料を使わないのが山口さんの『高炭素循環農法』の大きな特徴です。まず収穫が終わると、残っている植物をそのまま畑に鋤きこみます。そして町内のキノコ園からもらってきた菌床を畑の表面に撒きます。
数日後、畑の表面に白っぽいふわふわの糸状菌が見えてきたらしっかり深く耕して、後は菌にお任せ。3ケ月で菌はすきこまれた植物を分解して畑の養分にし、寿命を終えるそうです。その死骸もまた別の微生物のえさとなり土になり、おいしい野菜の源となります。
「過疎が進む地区一帯を、野菜のデパートにしたい」。 山口今朝廣さんの夢です。 地区民は60~70歳が多く、跡継ぎがいるのは山口農園のみ。後継者の誠治さんは娘婿です。若者がここで農業を学び、数年後には高齢者から畑を受け継ぐ。体験農園があちらこちらに用意されており、お客さんはほしい野菜をいつでも自分で収穫することができる。地区でとれた野菜の加工品の販売所もある。そんな野菜のデパートです。農業で地域を再興する夢。野菜づくりも地域づくりもどちらも欠かせません。野菜のデパートでは何を買おうかな。春はレタス、ブロッコリー。夏はトマト、秋は人参、冬は大根とほうれん草と・・・。考えるだけで楽しくなります。
山口さんは言います。 技術とは、誰でも、当たり前に、モノがつくれることだと。農業に置き換えると、それは研修生でも家庭菜園でも取り入れればすぐ成果を出せる農法。そんな技術を確立させて、広める。そしてそれを慣行農法とよばれるように変えたいんだ、と。現状慣行農法といえば、農薬・化学肥料の使用を前提とするもの。一般的なスーパーでは有機野菜は「普通」の野菜とは異なる「特別」なコーナーに並べられています。山口さんの技術で野菜のデパートがオープンする日が楽しみです!
現在、山口さんの野菜販売の中心は、約200軒の顧客宅への訪問販売となじみのある飲食店への直接販売です。顧客と話しながら伝えながらの商売。これはまさに今必要な販売方法だと感じました。残留農薬や薬品、食品添加物や遺伝子組換食品など、目には見えにくいものが溢れている、わかりにくくなっている今の時代だからこそ必要な形。山口さんは「安心・安全=有機栽培ではない」とおっしゃいます。「人(生産者)と人(消費者)その信頼関係が真の安心・安全な食べ物」なのだと教えてもらいました。
11/10(土)・11(日)の綾町有機農業まつりでは、山口農園の野菜たちに会えます。野菜たちがいるということは山口さんもいます。今朝廣さん、誠治さんが会場入りされる予定です。
山口さんの元には農業志望の若者が全国から集まってきます。今回ニンジン畑で一緒に作業をした岡野さんもその一人。今日の畑仕事が終わり、そのまま畑で農業談義に花が咲く。話の中で突然「岡野くんが私の先生だよ」「素人さんほど先生になれるんだよ」と山口さん。「???」はてなマークでいっぱいでいると、具体例をだしてくれて・・・。なるほど、「なぜこれをするのか」「こうしたらどうか」、など自分にはない視点を教えてもらえるからということですね。顧客も十分につき、研修生も視察も多く訪れ、講演も行う山口さん。客観的にみて成功しているように見えるが「自分はまだ30点」ととっても謙虚。
- オーガニックレストランSIZEN
- 一木一草(宮崎観光ホテル内)
- be good vegeloversチャゴ
- スーパー松野
- ひむか村の宝箱
- カントリーママ
- らいふのぱん