- 1975年宮崎県生まれ。『フォーシーズンズホテル椿山荘 東京』、イタリア料理『BiCE東京』、フランス料理『ぎんきょう』、『リストランテ キオラ』料理長を経て、2009年より現職。本場イタリアの技法を使って旬の食材の持ち味を最大限に引き出した、才気あふれる料理は、多くのファンを魅了しています。2011年、宮崎県より、料理界からは初めてとなる「みやざき大使」に任命。
- そもそも宮崎食材が好きなんです(笑) シェフ中原弘光・銀座シルベラードを皆さんに知っていただくきっかけになったのは、宮崎の食材にこだわり使い続けてきたからだと思います。それは自分の思いを伝えやすかったからです。それに対して「みやざき大使」を委嘱いただき大変光栄ですね。東京で宮崎の食材を使った料理を食べてもらう、美味しかったら地元・宮崎に行ってもらう、知ってもらう。その3段階ができれば「食の観光大使」として役割が果たせているのかなと思います。今は、その役割を楽しくやらせていただいています。これからも宮崎の食材にこだわり続けていきたいと思います。
- フレンチを学びフランスに行き、東京に来て偶然のイタリアンとの出逢いが人生を変えました。今までの経験があったので、フレンチとイタリアン両方の良いところを活かせると思い、フレンチで学んだソース作り・だしの取り方を今イタリアンの中にも活かしています。そして、気づけばトマトやズッキーニなど、イタリアンは宮崎で作っている物を使うことが多いんです。実家にいた学生時代から食卓にあった食材ばかりですぐに馴染めました。宮崎の食材はイタリアンに取り入れやすいと思います。
- エバンジェリスト(伝道師)の称号をいただいていますが、自分としては料理人としてそうでありたいと常に意識しています。料理人を目指す人には、生産者の想いや食材の生産された風土などを料理にのせてお客様に提供できるような料理人になって欲しいと思います。私も、常にお客様の口に入るまでのストーリー作りを大切にしています。お料理の出し方にしても、調理方法にしてもそれらをトータルで伝えられるような料理人(伝道師)でありたいと思います。
- 宮崎の食材は魅力的です。しかし、まだまだ知られていないと思います。どうやって知ってもらうかが重要ではないかと思います。キュウリやズッキーニにしても他県にもありますよね。生産量が日本一と言ってもそんなに消費者に響かないのが現実です。でも、食べてみたら分かると思うんです。実際に来て・見て・食べてもらう、ということを全国の腕のいい料理人を定期的に呼んでアピールすると良いのではないかと思います。宮崎の美味しい食材をもっと知って欲しいですね。
- 生産者と料理人が共に売り出すための工夫をしてはどうでしょうか。宮崎出身にこだわらず料理人と生産者を集めて交流やコラボができる機会があるといいですね。宮崎産の食材を使っているとお客様からメニューについて聞かれる事があります。生産者とダイレクトにやり取りをしているので食材について語る事ができるんです。食材が生産され目の前に料理として提供されるまでのストーリーをお客様と共有できます。生産者と料理人の距離を縮めることがお客様の満足度にも繋がりますし、それを常に心がけられる「食の伝道師」でありたいと思います。
- 例えば、三重の松坂牛を三重の人たちは愛して・誇って食べています。しかし、宮崎はその「土台」が若干薄いように感じます。「宮崎牛」といっても頻繁に食卓に上がるわけではないですよね。「土台」・・・地元・宮崎の人が愛して誇って常に食する、そんな環境になるといいなと思います。宮崎牛の消費量が宮崎では少ないことは残念に思います。宮崎牛に限らず、地元民から愛される食材をまずは地元が作ることが大切ではないでしょうか。「宮崎の食材を宮崎県民は普通に食べて誇っている」「宮崎の食材を美味しく食べられる店舗が増える」「それを県民が知っている」そんな土台作りが重要なのではないかと思います。