東九州自動車道西都ICを降りて、市街地を通り抜け山道を車で走る事約一時間。辺りの空気がしんと静まり、切り立った山々を両脇に見ながら進むと銀鏡神社の鳥居が見えてきます。そのすぐそばにあるのが、農業生産法人株式会社かぐらの里です。
かぐらの里では、東米良地域の特産品である柚子を生産・加工し、柚子胡椒、ポン酢、ドレッシングなどの製造販売を行っています。かぐらの里代表の濵砂修司さんにお話を伺いました。
濵砂さんは、JA西都に勤めた後、父親の立ち上げた会社を引き継ぎました。若い頃は自分の手で事業を立ち上げたいと考え、会社を引き継ごうとは思っていなかったという濵砂さん。しかし、故郷の過疎化を目の当たりにする中で、かぐらの里を引き継ぐことを決心。地元の産業を支えて、雇用を生み出し続ける事で故郷を守りたいという想いを胸に、様々な商品開発や催事への出店などにも積極的に参加。インターネットでの商品販売も行っています。特に、お客様の声をできるだけ沢山、直に聞いて商品作りの参考にしたいと、催事への出店を大切にしているとのことでした。
東米良で柚子の栽培が始まったのは約40年程前。地域の気候や地形が、柚子作りに適していることから栽培が始まりました。初めは苗木がうまく育たないなど数々の困難を乗り越えて、現在では故郷を支える大切な産業となっています。切り立った崖が多く、いくつもの谷が入り組んでいるため、湿度が安定しており、年間を通して雨が多いという東米良の地の利を活かして作られる美味しい柚子は今、実りのシーズンを迎えています。
取材に訪れた10月の中旬は、ちょうど柚子の収穫シーズン。私も柚子とり体験をさせて頂きました。その時一番驚いたのが、柚子の枝に固いとげがあること。そのため、収穫の際は軍手ではなく皮手袋をつけて作業を行います。また、東米良地区の柚子園は山々の中の離れた場所に点々と多数あり、収穫の手が足りない状況です。そこで、かぐらの里では「ゆずとりサポーター」と称して収穫のお手伝いをしてくれる人を募るという試みをしています。
地元のお年寄りが米良弁で優しく指導してくださりながらの収穫のお手伝い。休日をつかって一日だけでも、数日続けてもOK。毎年、青ゆずの収穫が9月下旬から10月にかけて。黄ゆずの収穫は11月から12月にかけて。山あいの美味しい空気を味わい、心も身体もリフレッシュしながら、収穫のお手伝いをしてみてはいかがでしょうか。