小林インターを降りて、しばらく車を走らせると道沿いにポツンと見えてくるのがソフトクリーム型のライト。これが気になってお店に訪れる方もいるという「高原アイスクリーム研究所」。遠方からも絞り立ての牛乳をつかった美味しいソフトクリームを求めて買い物客が訪れます。実家の一角を改装して今年オープンしたばかりのお店でお話を伺いました。お話を伺ったのは、代表の小野田裕之さんです。小野田さんは1970年愛知県生まれ。祖父の代から酪農を営む家に生まれ、幼少の頃により酪農に適した地を求めて一家で宮崎県に移住しました。
直売所のある小林市の隣、高原町に農場があり、約100頭の牛を育てています。酪農業を営みながら、小野田さんの長年の夢だったのが、加工品を製造販売する事。幼少の頃に採れたての牛乳を使って美味しい加工品を作る母の姿を手伝いながら見ていた思い出がずっと胸の中にあったと言います。その想いが実現するきっかけとなったのが、宮崎県内の市町村対抗で行われるグルメコンテストに高原町チームの一員として参加したことでした。
グルメコンテストに参加したのは3年前。高原町役場の担当者から、地元の生産者が作ったものを使って、町の人々と協力してもらいながら出品作を作ることで、人と人とを繋ぎ、またコンテストに出場することで高原町のPRのきっかけを作りたいと誘いを受け、町の盛り上げに協力できるのならばと、参加を快諾しました。
初めて出場した2014年。多くの市町村が名産の肉や魚、野菜などを用いたレシピを考案し出品する中、高原町が出品したのはかき氷とアイスクリームがベースとなったスイーツ。結果は、優勝チームと数十差の準優勝でした。
翌年もリベンジをかけて再びスイーツでエントリーし、第三位。そして、今年2016年。念願の優勝を果たしました。このコンテストへの出場は、上位に入賞することで町のPRになっただけでなく、小野田さんの仕事にも大きな影響を与えました。コンテストのレシピに使うアイスクリームについて、生乳を提供するだけでなくその製造過程について学んでいくことで、「いつかは」と胸に抱いていた、自社での製造販売に本格的に乗り出したのが、2015年。遂に念願のアイスの加工部門を自社に設立しました。自ら商品開発を手掛け、インターネットや販売店で商品を販売するだけでなく、高原町へのふるさと納税者への贈答品にも採用されています。
小野田さんの朝は、毎日6時に牛舎に行く事から始まります。子どもの頃から乳牛と共にいて、家族のように育てながら酪農の道を歩んで来ました。酪農と合わせて立ち上げた加工品には、大切に育て上げて採れた生乳をより多くの人に美味しく味わって欲しいという想いも込められています。町のPRになればと参加したコンテストで、地元の仲間と熱く語り合い協力しあえた経験と人との繋がり、そして長年暖めていた想いが形になり実現した、「高原アイスクリーム研究所」は2016年、小林市に直売所をオープン。
地元の子どもたちがお小遣いを貯めて買いに来てくれる、遠方からインターネットの情報をみて車で訪れてくれる、そんな出逢いを日々重ねています。今後は、アイスクリームの製造過程を一般の人が見学出来る施設も作っていければと、ますます夢は広がります。