今回訪れたのは、都城市高城町。宮崎県内には、梨やぶどう、栗など多くの果樹園がありますが、これから旬を迎えるブルーベリーの観光農園が都城市高城町にあるとのことで訪ねました。
都城市でブルーベリーを栽培する『KIYANSE FARM(キヤンセファーム)』。KIYANSE(キヤンセ)とは、宮崎県の西部の言葉で「来て下さい」「いらっしゃい」という意味です。人の背丈ほどのブルーベリー畑が広がる農園には、イスとテーブルのあるテラススペースがあり農園が作るお茶やスイーツを頂くことが出来ます。
また提携生産者の農産物や加工品などを置く無人販売所があり、取材中も新鮮な農作物を求めてお客様が立ち寄っていました。
農園では、約1.2ヘクタールの面積の畑に30種類2000株のブルーベリーを化学肥料・農薬を一切使わずに栽培しています。早生から晩生までバランスよくさまざまな品種を栽培することで収穫期が重ならず長期間収穫できるように工夫しているとのこと。また、商品の販売だけでなく6月からはブルーベリー狩りも楽しめます。このキヤンセファームについて、代表の大前幸祐さんにお話を伺いました。
取材にお邪魔したのは5月の末。絶好の撮影日和で、日射しが眩しいながらも木陰では涼しい風が気持ちのよいお天気。まずはブルーベリー畑に案内して頂きました。観光農園から道路を挟んだところにある畑には、人の背丈ほどのブルーベリーの木がずらり。畑に足を踏み入れてまず驚いたのがその土の柔らかさです。杉の皮などの有機物(バーク)を敷いたフカフカの畑で、大前さんは化学肥料・農薬を一切使わない、こだわりのブルーベリー栽培を行っています。
大前幸祐さんは、1981年生まれ。子どもの頃から野球に打ち込み、都城高校時代は、レギュラーとして出場した夏の高校野球全国大会でベスト16入りするなど野球に打ち込んできました。大学まで野球を続け、その後鹿児島県に本社を置く会社に就職しましたが、帰郷して今まで全く経験のないブルーベリー作りをはじめます。
両親が趣味でブルーベリーを栽培していたことをきっかけに、サラリーマンから農家に転身した大前さん。その一番の理由は、子どもの頃から野球の練習で親しんでいた土の上で身体を動かす仕事をしたいという思いからでした。先祖代々の農地ではなく、新規で手に入れた農地で知識も経験もない中、栽培をスタート。1年目は半分以上の木を枯らしてしまったと言います。
その後、専門家の講習会に出向き勉強をしながら経験を積みブルーベリーの生産、販売から加工品の製造販売までを手がけるようになり、2011年には訪れた人にブルーベルー狩りを楽しんでもらう観光農園「キヤンセファーム」をオープンさせました。
農薬一切不使用で栽培されているキヤンセファームのブルーベリーは摘んだその場で食べることもできます。一口頂いて奥歯で噛み締めると、ジューシーな実がはじけて爽やかな甘みが口の中に広がりました。農園でのブルーベリー狩りは今年も6月から始まり、一般のお客様にもこの美味しさを楽しんでもらうことができます。
また併設のテラスでは、自社農園で採れたブルーベリーを使ったリーフティやジュース、また自社農園の自然養鶏“やさしい卵”を使用したソフトクリームやパフェ、さらにはブルーベリーピクルスを使用したブルーベリー酢ソーダなどを味わうことができます。
そして、野菜や花、その他農産加工品がならぶ無人販売所は、開設1年の11月に向けてスペースを広げる予定です。
これからハイシーズンを迎えるキヤンセファーム。多くの人たちが訪れ柔らかい土の感触や外の空気を感じながらブルーベリーを味わったり、地元の農産物を買い求める。そんな笑顔あふれる光景が目に浮かんで、宮崎の空の青が一層濃くなる夏の訪れが楽しみです。