地元経済を支える須木栗を守りたい-椎谷敏治さん

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椎谷敏治(しいやとしはる)
昭和30年生まれ。小林市須木出身。高校卒業後大阪で電気関係の仕事を経て帰郷。旧須木村の特産である栗の専門農協で13年間勤務の後、平成4年有限会社すき特産を平川春義氏と立ち上げる。現在は加工品の製造販売だけでなく農業生産法人として、生産から商品開発、製造販売を手がけている。

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地元経済を支える須木栗を守りたい-椎谷敏治さん
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栗の生産加工と雇用に貢献

9月の出逢い旅は、これから旬を迎える栗の生産地小林市須木へ行って来ました。人口約2000人の旧須木村は、平成18年に南に隣接する小林市と合併し現在は地域自治区となっています。宮崎県は栗の収穫量625トンで全国6位(平成24年)の生産量があり、中でも須木特産の栗は粒が大きく甘みが強いことが特徴です。
その須木栗を広く知ってもらうため、青果物としてだけでなく栗本来の風味を活かした加工品にするために地元企業として平成4年に会社を立ち上げ多くの生産加工品を販売している農業生産法人有限会社すき特産を訪ねました。
お話を伺ったのは、椎谷敏治さん。椎谷さんは小林市須木の出身。高校卒業後大阪で電気関係の仕事に就いていましたが、その後帰郷。地元の特産品である栗の専門農協で13年間勤務していましたが、その時に地元に栗の生産加工をする会社の必要性を強く感じ現社長の平川春義さんと共同して会社を立ち上げました。平成4年、37歳の時に事務員も含めて3人でスタートした会社は現在従業員約50人。地元の雇用にも貢献する企業へと成長しました。

須木栗に付加価値をつけたい

栗はビタミン、ミネラルが豊富で体内の過剰なナトリウムを排泄し、血圧を下げる効果があると言われています。食物繊維が豊富で脂質が少ないことが特徴で脂肪、カロリーの摂り過ぎを気にすることなく、ビタミンを補給することが可能です。
須木栗は豊かな山林に自生していた野栗からヒントを得て昭和37年頃から開拓農業者により植栽が始まり、ピーク時には年間715トンの生産を誇っていました。須木栗を青果物としてだけでなく、付加価値をつけた加工品を生産販売することで地元にお金を落とし、雇用を創り出したいという思いから立ち上がったのが、有限会社すき特産です。

すき特産では菓子店などに卸す業務用の缶詰や、贈答品用の商品、須木に観光に来た際のお土産品としてのジャムやアイスクリームなど多岐にわたる商品開発を手がけています。はじめは栗の甘露煮を甘納豆に仕上げた素朴なお菓子からスタートし、より栗の風味とコクを引き出せる渋皮煮の栗を原料にしたものを用いるなど、商品にさらにアクセントを加え味のバリエーションを少しづつ増やす努力をしています。

須木栗を守り、次世代へつなげたい

栗の収穫時期には、拾ってすぐの新鮮なものをすぐ加工することができるのが、この会社の強みと話す椎谷さん。秋の収穫までには、栗林の剪定や害虫の防除、夏の時期の草刈りは暑い時期に3回程行うなど年間をかけての作業を伴います。また収穫時期以外には、同じく須木の特産である柚子の生産加工品を同じ工場で製造し、栗の加工品をあわせて販売も行うなど年間を通して工場を稼働させています。

今後の課題は、栗の生産農家の減少。住宅地から近い近隣の農園を中心に現在は150から180の栗園が残っていますが、移動が1時間近くかかる山奥の農園は放置林になってしまっているのが課題です。すき特産では会社規模で農業生産にも取り組み、農業生産から加工品の製造販売まで一手に行う六次産業化を行うことで、これまで地元の経済を支えてきた須木栗を守り、次世代へつなげようとしています。

取材: 横山美和 (よこやま みわ)
宮崎市出身。宮崎大宮高校を経て、立教大学社会学部へ進学。在学中よりフリーアナウンサーとして活動。2003年に帰郷しテレビ宮崎入社。現在は子育てをしながらUMKテレビ宮崎、MRT宮崎放送、宮崎サンシャインFMの番組、CM等に出演の傍ら、宮崎県内で絵本とピアノのステージ「おはなしとおんがくの森」の公演も行う。
facebook: 横山美和

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