私自身が、とにかく待ちに待っていた。宮崎市の郊外にある「ステッサ」は構想に3年の年月を掛け、満を持して今シーズン、リニューアルオープン。建物は外観から以前のモノトーンを基調としたモダンなイメージとはがらりと雰囲気をかえ、風光明媚な南イタリアの港町ナポリのイメージカラーであるブルーを随所に取り入れ、暖かみのあるアースカラーでまとめられた空間が広がっている。
口から入るもの、肌に塗るもの、髪につけるものすべてを自然にシンプルに。をコンセプトに、食と美と健康の総合施設を目指すステッサは、野菜・果物、加工食品の販売、レストラン、カフェ、ヘアサロン、スパ&エステ、加圧トレーニングをメインとしたトレーニングスタジオ、農・食・美をテーマにしたセミナーの開催など多岐にわたって展開している。リニューアルしたステッサについて、バディラボ株式会社代表取締役の蛯原啓子さんにお話を伺った。
農業生産法人バディラボ株式会社は農業、加工、流通・消費まで一貫した事業を行い、関連会社からの資材や堆肥の提供もあわせてリサイクルループ<循環型農業6次産業化>を展開。その飲食事業として「ステッサ」で自然の野菜を使用したオーガニック料理を提供している。
ステッサのリニューアルの話の中で印象的だったのはレストラン部門。以前からのイタリアンスタイルは引き継ぎつつも、「畑から食卓へ」をテーマにピッツェリアレストランに生まれ変わった。ここでは自社栽培の無農薬野菜や宮崎の契約農家の農畜産物を国産小麦・全粒粉を使ったナポリピッツァと楽しむことができる。
窯焼きの美味しい野菜や肉、魚を提供したいという発想から生まれた今回のリニューアルのために、シェフ自ら1年以上の時間をかけてナポリで窯焼きの修行へ行き、国内のナポリピッツァ専門店で研修を受けるなど準備を進めてきたとのこと。
また、レストランのカウンターから炎の暖かさを感じることができる焼窯にもこだわった。外はカリッと中はもっちりとした食感のナポリピッツァを焼き上げるためには、400度から500度の高温を保つことができる本場イタリアの焼窯を使う店が多い。しかし、メンテナンスの時間やコストが地方の店では課題だった所、日本製の高性能の焼窯を群馬県で探し当てることができた。スタッフが焼き窯の使い方の講習に群馬県へ出向き、現在はピッツァと合わせて、高温で焼き上げた野菜や肉、魚を堪能できる。
ステッサはレストランだけでなく、カフェ、ヘアサロン、エステサロン、ジムなどがあり13名のスタッフが支えている。会社のスタッフでありながらも、各々がそれぞれの分野の技術者でもあるため、蛯原さんは、お客様はお店のお客様でありつつプロフェッショナルのスタッフそれぞれのお客様であるという目線を忘れない様にと常々伝えている。お客様にリラックスして楽しんでもらうためには、まず自分たちが余裕をもってこの環境と空間を楽しむことが大切と語る。
ステッサを立ち上げて10年。休日などリフレッシュする時間は?と聞いてみたが、実家が事業をしている環境で育ったため、土日が休みという感覚があまりない、とのこと。ただ、自分で試して良いと思ったスパや加圧トレーニングの体験、フードやお酒の新メニューのチェックがリフレッシュになり、そこで感じた事をスタッフにフィードバックしているという。蛯原さんをはじめスタッフが一丸となって創り上げた心地よい空間で、寛ぎの時間をぜひ満喫してほしい。