東京、代官山の駅をおりてすぐ。アパレルショップなどが並ぶビルの一角にある、九州パンケーキカフェを訪ねた。
カフェを経営する株式会社アップクオリティの泉川大社長にお話を伺った。
泉川さんは「九州パンケーキは、ミックス粉そのものにストーリーがある。これが他にはない特色」と言う。「九州パンケーキ」とは、オール九州産の厳選素材(小麦、雑穀)だけで作ったパンケーキミックスで2012年末に発売を開始し、現在は全国で取り扱い店舗が100店を超えている。砂糖は鹿児島産のサトウキビ、小麦粉は大分産、熊本産、雑穀は鹿児島産のうるち米、熊本産の黒米、福岡産の赤米、長崎産のもちきび、宮崎産の発芽玄米、佐賀県産の胚芽押し麦を使用。また、乳化剤・香料・加工でんぷんは一切使用しないで仕上げている。膨張剤も、安心・安全なアルミニウムフリーのベーキングパウダーを使用。穀物本来の香ばしくてほのかに甘い自然な風味が特長。もちもちふわふわの新食感で、冷めてもおいしく食べられる。
2010年頃から、海外のフランチャイズ店舗が東京に進出したことをきっかけに日本でブームとなったパンケーキ。特に、渋谷、原宿、代官山エリアはその激戦区となっている。その中で、このカフェは、安心安全な原料だけを厳選して作られたパンケーキミックスを使用し、卵、牛乳、さらにトッピングの食材も九州産に特化したメニューが注目を集めている。
泉川さんの経営する会社は、店頭プロモーション、農産物のブランディング・マーケティング、野菜ソムリエの派遣等人的リソースのプロモーションといった事業を展開している。
泉川さんと九州パンケーキとの出会いは、2年前。有限会社一平(宮崎市)代表取締役 村岡浩司社長との会話からだった。子供と親が一緒に安心して食べられるパンケーキを作りたいという村岡氏の思いに共感し、商品化したら東京で自分に売らせてくださいと話したのがきっかけとなり、2013年5月代官山に九州パンケーキのアンテナショップとなるカフェをオープンさせた。
近隣に子ども服などのキッズ用品の店舗が集まるという立地条件から、親子連れや、妊娠中の女性、カップルなどが多く訪れる。食への関心の高いユーザーが多く、食材の産地を訊ねられる事が多いとの事で、安心安全な食材を全面に出した九州パンケーキの強みが活かされている。
取材にお邪魔した日は伊勢丹新宿で開催の大九州展の前日で、準備の真っ只中だった。その目玉となる宮崎産の高級牛肉である尾崎牛を使ったパンケーキのハンバーガーについてのアイデア等も語ってくださった。スイーツではなくフードとしてのパンケーキのアイデアは代官山のカフェにも今後反映される予定で、近隣で働く人向けのメニュー開発が進んでいる。
九州パンケーキをより多くの人に知ってもらい、ミックス粉の普及に努めたいと語る泉川さん。カフェ以外にも、催事への出店など、アイデア溢れる今後の展開から目が離せない。