行政特集

宮崎県農産物を大消費地へ!「みやざきブランド」について聞く

ブランド・流通対策室について教えてください。
ブランド・流通対策室では県内農産物のブランド化と、選ばれる産地としての流通販売体制構築等を中心的な役割として、「ブランド担当」と「流通市場担当」の大きく2つの担当を設けています。「ブランド担当」は3名で主に農作物の差別化戦略、「流通市場担当」は4名で主に輸出・物流を担当し、室長の私を含め計8名で活動しています。また、河野宮崎県知事を名誉本部長、羽田JA宮崎経済連会長を本部長に、「みやざきブランド推進本部」を設置し、「いのちの恵に感謝する県 みやざき」のコンセプトのもと、「宮崎産なら安心」「選んで買うなら宮崎産」といった、消費者の信頼を勝ち取るため、(1)特長ある商品づくり(2)信頼される産地づくり(3)安定的な取引づくりを3本柱とする総合的なブランド戦略を推進しています。
現在の課題などを教えてください。
宮崎は、大消費地から距離が遠い輸送園芸県という事もあり、鮮度を落とさずコストをかけずに物流させるという問題は、重要な課題と言えます。このハンデを乗り越えて市場を活性化させ、宮崎の農産物を広く、たくさん普及、消費してもらうにはどうすればいいのか。
例えば宮崎の主要品目キュウリ、ピーマン、スイートピーは冬場の日照時間の確保が欠かせません。宮崎は全国トップクラスの日射量等、豊かな風土・環境を誇り、これらの点で他県と比較しても絶対的なアドバンテージ(優位性)があるのです。このアドバンテージを活かして生産した農作物を、もっと効果的にPRしていく事がますます重要となります。
また、やはり宮崎は認知度が低いと言えます。私は過去に二回東京勤務を経験していますが、新宿KONNEで宮崎の新米のPRを行った時に驚いたのは、「宮崎」と「宮城」を間違われる方、そして「宮崎でお米が獲れるの?」と言われた方がそれぞれ1/3程度ずついらっしゃった事。その時に「東京の消費者は宮崎でお米を作っている事さえ(・・)も知らないのだ」と認知度の低さを実感したのです。宮崎は宮崎牛、マンゴー、地鶏の県だと思われている。それはそれで素晴らしい事ですが、実はスイートピー生産量日本一、お茶も第4位!他にも多くのバラエティに富んだ自慢すべき農産物がありますが、そのほとんどは知られていないのです。ブランド推進をしていく上で、宮崎県民が考えるイメージと、東京等の大消費地で持たれる宮崎のイメージの違いを理解しない限り、みやざきブランドというものは定着しない、と思います。いろんな場所・方法でアピールをしなければブランド定着は難しいと、宮崎にいては気づかなかった事を、東京勤務時に気づく事が出来ました。
宮崎県農産物をよりPRしていくための取り組みとは?
先程も申しましたが、宮崎は本当にたくさんのバラエティに富んだ農作物、畜産物、水産物があり、まさに食の宝庫です。宮崎の方は、それを当たり前に思っていらっしゃいますが、この様な県は他にはなかなかない!これを売り込まない手はないと思います! 更に、農産物だけをPRするのではなく、具体的にその食べ方まで伝える必要があると思います。名前を知っていても食べ方を知っている人は少ない。日向夏がいい例です。「白い皮の部分を一緒に食べてください」と一言添えると驚きながら食べてくれますが、見ていないと皆さん白い皮は残して、果肉のみ食べられます。そこに食べ方が紙に書いて置いてあっても、です。宮崎県民にとっては当たり前の食べ方も、他県の方にはなかなか伝わらないのです。きんかんも同じですね。きんかんの7割は宮崎で生産しているんですよ!宮崎では生食用のフルーツとして「完熟きんかん たまたま」を売り出していますが、他県での食べ方の主流は甘露煮です。皮ごと食べるのが美味しいのですが、「皮はどう剥くのですか?」と聞かれる事もしばしばです。丸ごと食べるなんて思っていない、このイメージを打破しなければいけません。なじみのない食べ方・宮崎の農産物を定着させるというのは、なかなか簡単にはいきません。何よりも問題なのは大消費地から遠いという事。我々も含め生産者の方が大消費地のニーズ・情報を敏感に、肌で感じ取りにくいという事は物流の問題以上に重大だと感じます。だからこそ、消費ニーズに合ったものを作りながらPRしていくブランド対策が、今後重要になってくると考えています。
今後の展開・展望について教えてください。

今回インターネットで、東京・大阪・名古屋・福岡、計2,000名を対象に行った宮崎県の認知度調査では、「宮崎県と言えば」第1位は宮崎牛68.8%、第2位は太陽のタマゴ(マンゴー)60.1%、第3位はみやざき地頭(じとっ)鶏(こ)50.1%、第4位は日向夏41.8%、第5位は完熟きんかん たまたま22.8%でした。上位3つについては、認知が定着してきたと考えております。
これからは、それら以外の認知度も底上げすべく、各品目にスポットを当てた品目別戦略を設け、生産から流通までの課題や戦略を整理するとともに、集中プロモーションにより認知度向上を行っていきます。
まず動き始めているのは「完熟きんかん」です。宮崎の完熟きんかんは樹上で210日もの間完熟を待ち、1月15日に解禁となりました。解禁日からは各地でプロモーション活動を展開し、東京・大阪で開催される「みやざきweeeek!!」(※1月号の行政特集にてご紹介しています)でもPRを実施します!
まずは「完熟きんかん」の集中プロモーションにぜひ注目してください!
また、約2時間という短時間で分析可能な「宮崎方式」残留農薬検査システムに加え、農薬の適正使用や生産工程管理の記録を遵守する「GAP」の導入を平成26年度から義務化し、他県に類をみないほど食の安全・安心の確保を進めています。そして、この宮崎独自の残留農薬検査システムを利用し、栄養・機能性成分分析技術の開発に取り組み、平成24年度末現在で、120成分の分析が可能です。これにより、宮崎県産のピーマンはβカロテンが標準成分値の約1.5倍、ビタミンCが約1.3倍という栄養・機能性に優れた品目であることが実証されたため、「みやざき健康ピーマン」としてみやざきブランド認証を行いました。今後ますます「健康」に着目した新戦略の展開を推進していきます!さらに今年度からはブランドアドバイザーとして白田典子さん、寺本りえ子さん、宮田理恵さん、素晴らしい女性3名もお迎えし、売り方やパッケージ、コラボ企画など、アドバイスを頂きながら、みやざきブランドの強化に期待しています。
ブランド創りは生産地から。県民を巻き込んだ大きな流れで、大消費地にみやざきブランドを定着させていきたい!そう考えています。

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